若者能

→ クリックすると拡大表示します。


それぞれの思い 曲目解説 第一回若者能 チケット申し込み
曲目解説
■ 仕舞 【玉之段(たまのだん)】

仕舞とは、一曲の能の中で、最も盛り上がる、見せ場となる部分と取り出し、紋付、袴姿で演じるものである。能のデッサン、などとも言われる。
歌謡曲で言えば、サビの部分だけを取り出した、とでも言うのだろう。
今回の玉之段は、海人(あま)というお能の仕舞です。
竜宮に奪われた宝珠を奪い返そうと、海に飛び込んだ海人(海女のこと)がおりました。宝珠奪還には成功するのですが、引き換えに自らの命を失います。
その時、命を失った海人の亡霊が、自らの竜宮での出来事を、写実的に物語るシーンがこの仕舞です。
海に飛び込むシーンから始まり、竜宮の様子を表現し、ついに宝珠を奪い取ります。しかし、守護神に追われ、最期を覚悟した海女は、自らの乳の下を掻き切り、そこに盗んだ宝珠を押し込んで、玉の入った自らの亡骸を地上に引き上げさせるのです。
壮絶な物語を、極めて写実的に表した仕舞です。
熟練した一流の能楽師、塩津哲生による、鋭い型の連続技。お楽しみに。

■ 能 【大会(だいえ)】

比叡山の僧が、庵室で修行をしていると、山伏が訪れます。その山伏は、「以前、僧に命を救ってもらったお礼に、恩返しをするためにやって来た。自分は神通力を得た身なので、何でも即座に望みを叶える。」と言います。霊鷲山(りょうじゅせん)で行われた釈迦の説法を見たい、という僧の望みに対し、山伏は、説法を見ても、本気になって信心を起こさないことを条件に承知、杉の木立で目をふさいで待つよう約束し、俄かに起こる風雲に乗って消えていきます。(中入)
木葉天狗たちは、大天狗が「大会(だいえ)」の模様を真似することを噂し、その端役に扮する談合をします(間狂言)
やがて、音楽が響き、仏の声が聞こえてきたので、僧は目を開けてみます。すると、霊鷲山での大会の有様が出現します。僧は山伏との約束も忘れ、信心を起こし、涙を流しながら礼拝します。
そのとき、山が振動して怒った帝釈天が天から現れ、天狗の術を打ち破ります。正体を現した天狗は、信者をたぶらかす不届き者として責め立てられ、もぢり羽になって(羽がぼろぼろになって)、飛行(空を飛ぶこと)もかなわなくなります。その天狗の姿を見て、帝釈天は天に上り、天狗は恐れをなして、岩根を這って、深谷の洞窟に逃げ込みます。


←第三回「若者能」←HOME ↑PAGE TOP